STORY

多様な国籍が暮らす、
日本有数の大型集合住宅、保見団地。


保見団地は愛知県豊田市保見ヶ丘にある住宅団地です。1970年代に豊田市が人口増加に対応するために造成し、現在では4,000戸を近くを収容することができ、最盛期には約12,000人余りの住民が暮らした巨大な集合住宅となっています。
1980年代後半から、同市周辺の企業へと出稼ぎに来たブラジル人が多く住むようになり、ブラジルやペルー、ベトナム、中国などを中心に、多様な国籍の人が住むようになり、現在は人口7000人近くの方が暮らしています。

多様な国籍が暮らす、
日本有数の大型集合住宅、
保見団地。


保見団地は愛知県豊田市保見ヶ丘にある住宅団地です。1970年代に豊田市が人口増加に対応するために造成し、現在では4,000戸を近くを収容することができ、最盛期には約12,000人余りの住民が暮らした巨大な集合住宅となっています。1980年代後半から、同市周辺の企業へと出稼ぎに来たブラジル人が多く住むようになり、ブラジルやペルー、ベトナム、中国などを中心に、多様な国籍の人が住むようになり、現在は人口7000人近くの方が暮らしています。

国籍の壁がもたらす、さまざまなトラブル。


保見団地は、日本人も含め多くの国籍の人たちが暮らすが故に、文化や習慣の違いからごみ出しや騒音、生活習慣をめぐるトラブルなどの課題を抱えています。現在、自治体やNPO団体による教育、交流促進活動が行われていますが、団地の共同スペースではごみの不法投棄や落書きがみられ、放火事件が起きたことも。また、日本で働くために多国籍の親が帯同してきた外国につながりのある子どもたちの教育問題や多国籍の住民の高齢化など、様々な問題を抱えています。

国籍の壁がもたらす、
さまざまなトラブル。


保見団地は、日本人も含め多くの国籍の人たちが暮らすが故に、文化や習慣の違いからごみ出しや騒音、生活習慣をめぐるトラブルなどの課題を抱えています。現在、自治体やNPO団体による教育、交流促進活動が行われていますが、団地の共同スペースではごみの不法投棄や落書きがみられ、放火事件が起きたことも。また、日本で働くために多国籍の親が帯同してきた外国につながりのある子どもたちの教育問題や多国籍の住民の高齢化など、様々な問題を抱えています。

保見団地の抱える課題アートに活路を見出す。


保見団地の抱える課題

教育

日系2世・3世の
外国につながりのある
子どもたちの教育問題

人材

地域づくりのために
主体的に活躍する
外国人材が育たない

高齢化

日本人含む
多国籍の
住民の高齢化問題

マナー

団地の共同スペースでの
不法投棄や落書き、
放火事件も

これらの課題は保見団地に限ったことではなく、諸外国の多くの移民コミュニティーが直面してきた普遍的な現象といえます。ですが、課題に向き合わなくては活路を見出すことはできません。
外から見るとどうしてもマイナスに見られてしまうこの団地を明るくしたい。自分の住む街に愛着を持ってほしい。外部からの支援だけでなく、そこに住む方々自身が、住みやすい暮らしを自立してつくってほしい。そんな想いを胸に、私たちは、言語の壁がない「アート」というジャンルに同団地の課題解決の可能性を見出しました。
アートを通して住民同士の交流の機会をつくり、言葉が通じなくても少しずつ「お互いを知る」アクションを提案しています。

保見団地の抱える課題
アートに活路を見出す。


保見団地の抱える課題

教育

日系2世・3世の
外国につながりのある
子どもたちの教育問題

人材

地域づくりのために
主体的に活躍する
外国人材が育たない

高齢化

日本人含む
多国籍の
住民の高齢化問題

マナー

団地の共同スペースでの
不法投棄や落書き、
放火事件も

これらの課題は保見団地に限ったことではなく、諸外国の多くの移民コミュニティーが直面してきた普遍的な現象といえます。ですが、課題に向き合わなくては活路を見出すことはできません。
外から見るとどうしてもマイナスに見られてしまうこの団地を明るくしたい。自分の住む街に愛着を持ってほしい。外部からの支援だけでなく、そこに住む方々自身が、住みやすい暮らしを自立してつくってほしい。そんな想いを胸に、私たちは、言語の壁がない「アート」というジャンルに同団地の課題解決の可能性を見出しました。
アートを通して住民同士の交流の機会をつくり、言葉が通じなくても少しずつ「お互いを知る」アクションを提案しています。

キャンバスは、多国籍団地。
「保見アートプロジェクト」の発足。


「アートを通して住民同士の交流の機会をつくり、言葉が通じなくても少しずつお互いを知ることはできないか」
保見団地で外国にルーツをもつ子どもや若者の日本語支援、自立支援活動をしているNPOトルシーダが中心となり、愛知県県営住宅自治会連絡協議会や県営保見自治区との協働で、市の諸機関と連携しながら、同団体の想いに共鳴したアーティストが集い、2019年6月に「保見アートプロジェクト」は発足されました。

キャンバスは、多国籍団地。
「保見アートプロジェクト」

の発足。


「アートを通して住民同士の交流の機会をつくり、言葉が通じなくても少しずつお互いを知ることはできないか」。保見団地で外国にルーツをもつ子どもや若者の日本語支援、自立支援活動をしているNPOトルシーダが中心となり、愛知県県営住宅自治会連絡協議会や県営保見自治区との協働で、市の諸機関と連携しながら、同団体の想いに共鳴したアーティストが集い、2019年6月に「保見アートプロジェクト」は発足されました。

100名以上の支援と、プレイベントで持てた確信。


同プロジェクトを遂行するために、まずはクラウドファンディングで資金を募りました。支援総額は160万円近くになり、100名以上の方に支援をいただきました。そしてプレイベントとして、2019年11月、「ふれあい祭り」を皮切りに全10回のアートワークショップを実施しました。大きな白いキャンバスに、自由に好きな絵を描いてもらうことで日本人もブラジル人も、多くの保見の人たちと交流することができました。また、小学生を対象としたペイントワークショップでは参加者の生き生きとした表情、思いきりアートを楽しむ姿を見ることができました。ほか様々なワークショップを開催し、団地に住む子どもから高齢者まで大勢が集う楽しいイベントで次の活動への期待と意欲を高めました。これらの活動を通して「アートに国境はない」という自信は確信だったことを実感しました。

100名以上の支援と、プレイベントで持てた確信。


同プロジェクトを遂行するために、まずはクラウドファンディングで資金を募りました。支援総額は160万円近くになり、100名以上の方に支援をいただきました。そしてプレイベントとして、2019年11月、「ふれあい祭り」を皮切りに全10回のアートワークショップを実施しました。大きな白いキャンバスに、自由に好きな絵を描いてもらうことで日本人もブラジル人も、多くの保見の人たちと交流することができました。また、小学生を対象としたペイントワークショップでは参加者の生き生きとした表情、思いきりアートを楽しむ姿を見ることができました。ほか様々なワークショップを開催し、団地に住む子どもから高齢者まで大勢が集う楽しいイベントで次の活動への期待と意欲を高めました。これらの活動を通して「アートに国境はない」という自信は確信だったことを実感しました。

アートの力で国籍を越えた、
交流の場を創出


次のステップでは、参加アーティストと地域の人々の協働で、県営住宅の共有スペース全面に壁画を制作し、「憩いの場」としての場を再生させました。完成後に地域の人々を招待してオープニングイベントを開催し、生まれ変わった「憩いの場」を披露しました。共有スペースはそれまで落書きや粗大ごみの不法投棄が絶えず、自治区役員の悩みの種となっていた場所です。昼間から薄暗くスラムのように荒れた場所でしたが、今では子どもを遊ばせながらその親が談笑する姿が見られる温かい場所に変わりました。

アートの力で国籍を越えた、
交流の場を創出


次のステップでは、参加アーティストと地域の人々の協働で、県営住宅の共有スペース全面に壁画を制作し、「憩いの場」としての場を再生させました。完成後に地域の人々を招待してオープニングイベントを開催し、生まれ変わった「憩いの場」を披露しました。共有スペースはそれまで落書きや粗大ごみの不法投棄が絶えず、自治区役員の悩みの種となっていた場所です。昼間から薄暗くスラムのように荒れた場所でしたが、今では子どもを遊ばせながらその親が談笑する姿が見られる温かい場所に変わりました。

壁画の「今」と、プロジェクトの「これから」。


壁画が完成してから2024年現在までおよそ4年が経過しましたが、共有スペース「憩いの場」には、ごみや落書きもなく美しく保たれています。住民が制作に参加し場への愛着が形成されたのだと感じます。NPOトルシーダはプロジェクト後に博報堂教育財団から第51回博報賞、文部科学大臣賞を受賞しました。アートで再生したこの空間は「住民同士のお互いの背景や文化を知るきっかけをつくり、多様性を受け入れられる地域づくりの基盤となった」として評価されています。この成果と多国籍団地である保見団地とアートとの親和性の高さから、日本において「多文化共生×アート」の先行事例となるように今後も活動を継続していきたいと考えています。

壁画の「今」と、プロジェクトの「これから」。


壁画が完成してから2024年現在までおよそ4年が経過しましたが、共有スペース「憩いの場」には、ごみや落書きもなく美しく保たれています。住民が制作に参加し場への愛着が形成されたのだと感じます。NPOトルシーダはプロジェクト後に博報堂教育財団から第51回博報賞、文部科学大臣賞を受賞しました。アートで再生したこの空間は「住民同士のお互いの背景や文化を知るきっかけをつくり、多様性を受け入れられる地域づくりの基盤となった」として評価されています。この成果と多国籍団地である保見団地とアートとの親和性の高さから、日本において「多文化共生×アート」の先行事例となるように今後も活動を継続していきたいと考えています。